鄙(ひな)への想い - 書籍情報
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書籍詳細

鄙(ひな)への想い
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鄙(ひな)への想い

日本の原風景、そのなりたちと行く末
  • 定価=本体1800+税
  • サイズ 四六判 上製 238ページ
  • ISBN 978-4-86029-414-4
内容紹介

6大学初の女性総長として、法政大学総長に就任する田中優子氏。
江戸から現代に続く「鄙(ひな)-いなかー」と「都市」の関係性を語る。

目次

序「鄙ひな」とは何か……………………………5
第一章 鄙から見た都とはどんなものだったのか
人間は死者の想いとつながって生きている……………………………14
あらかじめ位置づけされた犠牲の地……………………………23
江戸はなぜ豊かだと思われたのか?……………………………28
いかなる地域にも都と鄙があった(角館の場合) ……………………………37
藩命で秋田から江戸へ……………………………45
蟄居命令から死の旅路へ……………………………52
手這坂から見た日本の原風景……………………………59
第二章 グローバル化は人を幸せにするのか
生命の次元ではすべてが連環している……………………………68
地域を越えた地域同士のつながり……………………………76
破綻した二つのムラの二つの夢……………………………84
グローバリゼーションという名の不幸……………………………91
グローバル化が不安を生み出す元凶……………………………98
ショック・ドクトリンがやってくる……………………………105
ブータン文化と江戸文化……………………………112
グローバリゼーションの中での自立……………………………120
第三章 富と権力が都に集中し鄙は見捨てられるのか
鄙は日本の矛盾が集中する場所……………………………130
病や放射能汚染は差別を生み出す……………………………137
都市化は近代化のひとつの現れ……………………………143
日本はいまだアメリカの被占領国……………………………149
軍隊には都と鄙の構造が凝縮されている……………………………156
ハイリターンでハイリスクの広域システム……………………………163
福島は核のゴミ捨て場になるのか……………………………170
第四章 循環社会のノウハウは江戸学にある
自然との出合いで始まった女性解放運動……………………………180
現在の鄙は金儲けの場を目指している……………………………188
「鄙を生きるちから」を取り戻すには……………………………195
復興に必要なのは「多様性」……………………………203
復興のためにやってはならないこと……………………………210
循環社会のノウハウは江戸から学べ……………………………217
江戸学は一時代を全体のシステムと捉える……………………………224
豊かさを分けることで豊かさが戻る仕組み……………………………231
あとがき……………………………239

コメント

「この連載の最初の稿を書いたのは2011年2月だった。そして二回目を執筆したのが3月20日である。その間に3月11日という、「鄙」にとって決定的な日がはさまっていた。
(中略)
山や川やそこに暮らす人々をめぐる軽いエッセイを書くつもりだったのだ。しかし一回書いたそのあとで、3月11日がやってきた。
まるで「そんな表面的なことを書いても仕方ないよ」と言われながら、地球の表を一枚べろりとめくられたような気分だった。その下には、鄙と都の構造的問題がひしめいていた。事実をつきつけられたことは、世迷いごとを書き連ねるより、確かによかったかもしれない。鄙はもはや「コミュニティ」とはいえないほど生産力を失い、そのことによって都(を中心にする国家)に利用され、グローバリズムに翻弄され、依存を余儀なくなされている。
 コミュニティとは本来、生産共同体のことで、消費単位が立ち並ぶベッドタウンのことではない。生産共同体だからこそ、鄙と都はかつて相互依存関係にあった。都は鄙の生産物をさばき、流通させ、貨幣と交換する。鄙の技術力が高ければ高いほど、都が商品をまわす活力は強くなった。都の不要物や排泄物は鄙に運ばれて生産物の養分になり、都と鄙は循環社会をかたち作った。
(中略) 
鄙を凝視することは、世界の現状を見せつけられることだった。私の中の「鄙への想い」は、心に棘がささったような「想い」だった。
しかしそうはしていられない。棘がささったままでは、思考も行動も停滞した冷笑的なペシミストになるだけだ。 
クマールが言うように「潜在的な可能性」を信じ「よりよい方向を選択する」真のオプティミストになろう。そういう人がひとりでも増えなければ、世界はこのまま崩壊してゆく。なにより、生きているのがつまらない。(後略)」     
(あとがきより)