とくがわ・むせい 徳川夢声

本名・福原駿雄。1894(明治27)年、島根県に生れる。45年、東京府立一中を卒業。大正2年、活動写真弁士となり、独特の語り口で人気を集め、欧米映画の名解説者として一世を風靡した。トーキーの出現後は、漫談家、俳優として活躍し、戦後はラジオからテレビに進出、とくにNHKラジオで放送の「宮本武蔵」が有名。昭和25年NHK放送文化賞、29年菊池寛賞、32年には紫綬褒章を受けた。40年以来東京都名誉都民。46(1971)年8月没。昭和を代表するマルチ・タレント、ユーモリストとして知られ、著書多数。とくに『夢声自伝』『夢声戦争日記』は、庶民派文化人の視点から見つめた明治、大正、昭和の文化・風俗・歴史をめぐる貴重な証言に満ちた名著である。