加登屋のメモと写真…: 2006年4月アーカイブ
加登屋のメモと写真…
2006年4月アーカイブ

井尻千男さん クリティーナ平山さん 大西二郎さんほか

清流出版 (2006年4月 1日 21:55)

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 拓殖大学日本文化研究所所長の井尻千男さん(写真)。単行本の企画提案をするために来社された。井尻さんとは、約11年前、港区六本木の国際文化会館で行なわれた「岩倉使節の世界一周旅行――米欧亜回覧」の会でお会いしたのが最初である。その時、司会者にスピーチを指名された井尻さんと僕は、明治の先人たちの偉業を讃える言葉を述べた。当時、井尻さんは、日本経済新聞の編集委員をされていて、「とじ糸」という評判のコラムの書き手として知られていた。だが、その年に日経をお辞めになって、現在の拓殖大学日本文化研究所所長になられたのである。
 才能ある人をマスコミ業界も放っておかない。辞められると同時に、月刊誌『選択』の名編集長だった今は亡き飯塚昭男さんが声を掛けた。『選択』のレギュラー執筆者としてどうかと打診したのである。こうして井尻さんの連載「美のエピキュリアン――人生を深く味わう人」が始まった。毎号、僕も楽しみにして愛読していた。現在はテーマが変わり、「美のコンキスタドール――覇者の渇き」として健筆を振るっておられる。 
 脱線ついでに、僕の飯塚昭男さんへの忘れ得ぬ思い出を書き留めておきたい。僕がアメリカまで行って版権を取った本がある。それが翻訳刊行された『アイアコッカ――わが闘魂の経営』(徳岡孝夫訳 ダイヤモンド社刊 1985年)だが、この本を素晴らしいと真っ先に書評に取り上げてくれた方が、ほかならぬ飯塚昭男さんだった。『選択』以外にも各種新聞、雑誌にレギュラー執筆されていたが、そこにも好意的な書評を書いてくれた。それが起爆剤となって大ベストセラーになった。その後もこの本は多くの媒体に書評として取り上げられた。ダイヤモンド社出版局の広い壁一杯に書評のコピーが溢れたが、飯塚昭男さんがその先陣を切ってくれたのは事実。僕にとっては忘れられない恩人である。
 その飯塚さんが買っていた井尻さんである。よくぞ僕を覚えていて企画提案してくださったという気持ちである。企画内容は、『選択』連載の「美のエピキュリアン――人生を深く味わう人」を基に、雑誌『MY  WAY FOREVER』(2004年冬号)収録の「我流でつくる数奇の空間」などの文章と写真、設計図も掲載して、『男たちの数奇の魂』という本にしたいとのこと。井尻さんのこの構成案を快く引き受けた。
 山梨に広い敷地の実家がある井尻さん。「我流でつくる数奇の空間」の記事は、実際に井尻さんが四千坪の敷地内に茶室建設を思い立ち、完成させるまでを明らかにしたものだ。設計はすべてご自分でされ、腕のよい大工さんと二人三脚で、3年がかりで完成させたという。そんな井尻さんの数寄者ぶりもじっくりこの本で味わえるはずだ。
 本書に登場する茶人も、第一部の近現代編は、松永安左衛門(耳庵)、益田孝(鈍翁)、畠山一清(即翁)、原富太郎(三渓)、根津嘉一郎(青山)、五島慶太(古経楼)、小林一三(逸翁)、高橋義雄(箒庵)、石黒忠悳(況翁)、井上馨(世外)など、第二部の古い茶人編では、織田信長、豊臣秀吉、千利休、山上宗二、古田織部、小堀遠州、片桐石州、松平不昧、井伊直弼(宗観)、井上馨(世外)などが登場する。井上馨が両方に出てくるが、それが井尻さんならではの慧眼。なぜなのかは、読んでのお楽しみである。

 

 

 

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 クリティーナ平山さん(写真)は、人を介してわが社に翻訳本の童話を提案された方である。その童話の話をする前に、持参された自己紹介状を基に、クリティーナ平山さんの経歴を簡単にご紹介しておく。
 ポーランドの首都ワルシャワに生まれ、ワルシャワ大学日本語学科を卒業している。来日して日本人の平山さんと結婚、1981年より日本に定住する。1989年から千葉県浦安市役所の文化国際化アドヴァイザーとして、決まった曜日に勤務している。それ以外の日も、ボランティア活動、翻訳、ポーランド語教師、浦安在住外国人会副会長などを務め、多忙な毎日を送っている。
 さて、クリティーナさんは、グダンスク出身の詩人エマ・ポピックさんの童話『おとぎの国への入り口』を日本語版で是非刊行したいと、人を介してアプローチしてきたのだが、すでに翻訳は終えていた。あまりの面白さに、自分で翻訳してしまったというわけだ。
 内容は、自分の部屋からおとぎの世界へ迷い込んだ10歳のトメック少年が、不思議な冒険旅行を繰り広げるというもの。魔法使い、ぬいぐるみの王様、意地悪なおばあさんや奇妙な動物たちと出合い、襲いくる危機を切り抜けながら精神的に強く大きく成長していく。押し付けがましいところが一切なく、ストーリー展開が見事である。文章の詩情性も豊かで、時間と空間の相対性なども盛り込んだ楽しい冒険物語となっている。
 2004年5月、EU(欧州連合)へ加入したポーランドは、EUの学校教育でのさまざまなプログラムへ参加できることになった。その中にソクラテス・コムニウスというプログラムがある。その授業で「今日と明日のおもちゃ」というテーマで、エマ・ポピックさんの『おとぎの国への入り口』が採用されることが決まっている。EUと日本の子どもたちが、同じ本を読んで感動するシーンを今から想像すると、胸がわくわくする。読者に早く届けたいと気が急くほどである。

 

 

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 学校法人産業能率大学経営開発研究本部主幹研究員の大西二郎さん(写真)。是非刊行して欲しい企画があると来社された。お話を伺ってみると、「父親のためのコミュニケーション・スキル」というテーマだという。大西さんが、日ごろ、講義をなさっている研究テーマとはいささか異なるので、「なぜ、そのようなテーマでわが社から出版したいのか?」と訊いてみた。お答えになった詳細は省くが、大西さんの企画意図と情熱溢れる態度に好感を抱き、僕は出版刊行にゴーサインを出した。
 仮題は今のところ、『聴いてくれるお父さんは好きですか?』または『お父さん、聴いてくれる?』にしたいと思っているが、いずれにしてもサブタイトルで「家族愛和のために」という謳い文句を付けてみたい。編集担当者は野本君だが、このサブタイトルにはちょっとしたわけがある。野本君はつい最近、自分で会社を作って船出したばかり。その社名を?愛和出版研究所と名付けた。会社が順風満帆に船出することを祈って、大西さんの企画内容がちょうどピッタリなので、「愛和」のサブタイトルを贈ることにしたいと思ったのである。
 大西さんは、これまで『新入社員ハンドブック』『マネジメントとマネジャー』『女性リーダーのためのリーダーシップ講座』(共に産能大学刊)、『秘書入門』(日本実業出版刊)等の著書、共著がある。
 組織学会、社会心理学会等に所属され、マネジメント、教育システム、コミュニケーション能力向上の支援、組織内インストラクターの養成支援等で今後もますます研究成果を上げることを期待したい。一方、わが社とのお付き合いは、ビジネス書とは違った、やわらかな視点からの単行本をお願いしたいと思っている。

 

 

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 わが社から刊行したばかりの『サフィア――新生イラクを担う族長の娘』(ヨハンナ・アワド=ガイスラー著)の共訳者であるウィーン在住の伊東明美さん(左)が来社された。伊東さんは横浜の生まれ。横浜市立大学社会学科および独文科卒業後、出版社編集部勤務を経てウィーン大学に入学、翻訳通訳科に学んでいる。持病を抱えているため、自宅でできる仕事がしたいと思っていたという。考えた結果が翻訳者への道だった。このウィーン大学の同じ翻訳通訳科で学んでいたのが、この本の共訳者となる福田和代さんである。福田さんも伊東さんと同じウィーンに在住し、日本人観光客向けの月刊誌『ウィーン』の編集発行している。
 伊東さんはドイツ、オーストリア、スイスなど同じドイツ語圏でも、国や地域によって、少しずつ言葉の使い方やニュアンスが違うという話をしてくれた。ドイツ人は自己主張が強く、ドイツの南部と北部では日本の方言のような違いがあるらしい。逆に、オーストリア人は控えめな国民で、強烈な自己主張はなく融和を好むところが日本人に近いところがあり、ウィーンに住でいるのも心安らぐ部分があるからだとか。
 翻訳者としてルートヴィヒ・べヒシュタインの『「悪い子」のための怖くて不思議な童話集』、ヘルガ・フェルビンガーの『だいじょうぶ! ひとりでも生きられる』などを翻訳されている。持参した『だいじょうぶ! ひとりでも生きられる』(講談社)の本にサインをしていただいた。著者はドイツ人でジャーナリスト、作家、翻訳家として活躍している方。離婚した後、どう自分と向き合っていけばいいのか、を考える本である。伊東さん自身、同様な離婚体験をされたということで、特別思い入れの深い本のようだ。

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