貧困と憎悪の海のギャングたち

貧困と憎悪の海のギャングたち 現代 海賊事情

ジャン=ミシェル・バロー

千代浦昌道

定価
1980円(税込)
サイズ
四六判 並製 202頁
ISBN
9784860293376
発売日
2011年2月25日

内容紹介

海のギャングたちによる略奪は、驚くべき広がりを見せている。海賊行為そのものは、大昔から行われてきた。紀元前二五〇〇年頃には、フェニキア人とクレタ人は、海賊で大いに儲けていた。ではなぜ今、海賊が世界各地の海を荒らし回っているのか。現代の海賊は、命まで奪う凶暴な存在なのか。海賊から船を守るためにはどうしたらいいのか。海賊を生み出した、繁栄する世界の影に迫った、現代海賊についての第一級のドキュメントである。

現代に海賊が発生する最大の原因は、繁栄の裏側でいまだに世界を覆う貧困である。貧困には「絶対的貧困」と「不平等によって生じる貧困」がある。その日の食事さえままならず、生きるだけが精一杯という貧困を「絶対的貧困」という。これらの貧困は、発展途上国では相互に重なり合っている。しかし、より複雑で問題なのは、「不平等によって生じる貧困」、いわゆる「貧富の格差」である。極めて少数の一握りの人々が、国の富の大部分を手中に収め、残りの大多数の国民は、いまだに貧困にあえいでいるのだ。こうした不平等によって生じる貧困は、富と権力を握った人々への羨望と怒り、憎悪の感情を生み出す。現代における海賊の出現は、その典型的な事例といえよう。

目次

1いまや空前の海賊ブーム 2海路は世界の大動脈 3東南アジアのハイリスクな海 4マラッカ海峡の罠 5インド亜大陸─海賊しか仕事がない人々 6ソマリア、アデン湾─無政府状態と伝統 7アフリカ沿岸も危険がいっぱい 8南米、カリブ海沿岸もまた… 9狙われるヨット 10海の男ピーター・ブレイクの殺害 11予防策、抑止力はあるのか