加登屋のメモと写真…: 2015年10月アーカイブ
加登屋のメモと写真…
2015年10月アーカイブ

假屋崎省吾さん

清流出版 (2015年10月27日 11:40)

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目黒雅叙園で開催された「假屋崎省吾の世界」展。

 

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假屋崎さんへ贈られたお祝いの花々。

 

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正面玄関入ってすぐに展示された假屋崎省吾さんの作品。

 

 

・目黒雅叙園で101日から25日まで長期開催されている「假屋崎省吾の世界」展を臼井雅観君と見に行ってきた。假屋崎さんには、弊社刊行の月刊『清流』に「日常生活で生け花を楽しむ」をコンセプトにして連載をしていただいた。それをまとめた『假屋崎省吾の暮らしの花空間』という本を1冊出させてもらっている。それを恩義に感じてくれたものか、その後も何かイベントがある度に、律儀に招待状を送ってくれる。この7月にも日本橋三越本店7階で、「假屋崎省吾の世界」が開催されたが、この時もわれわれは招待状をいただいた。昼食を兼ねて4人で出かけた。帰り際に猛烈な熱帯性スコールに襲われたが、その異常気象の乱調も印象が薄くなるほど、ただただ假屋崎さんの個展の素晴らしさに感動した。今回も目黒雅叙園の個展に招待を受けた。思い起こせば、雅叙園の假屋崎さんの個展を何回観たことだろうか。最初は、假屋崎省吾さんのプロデュースした「ブライダル・ブーケのファッションショー」に直接の単行本編集担当者だった秋篠貴子嬢、出版部長だった臼井君と何度か招待されて、お土産もどっさり貰い、楽しませてもらった。特別な訪問着や振袖、打掛、ウエディング・ドレス姿のモデルさんたちが、次々に假屋崎さんのプロデュースしたブーケをもって登場し、目を楽しませてくれたものである。ゲスト陣も豪華で、ある時はピアニストのフジ子・ヘミングさん、またある時は書家の紫舟(ししゅう)さんなどが登場し、実際にピアノ演奏や書のパフォーマンスで楽しませてくれた。

今回の展覧会は新趣向もこらされていた。それはトワイライト見学というもので、昼間の時間帯に来られない方のために、夕方5時から7時までという時間で見られるようにしたものである。それもこの時間帯の入場者に限り、会場内の写真撮影がOKという特典つきだ。僕らは午後に出掛けたのだが、ゆっくりと見学して帰ろうとする頃は、すでに夕方に近かった。臼井君は最近カメラに凝っていて当日も肩から下げていたのだが、会場係の方がご親切にも、「しばらくするとトワイライトタイムになるから、写真を撮りたかったらどうぞ」と言ってくれた。こんな心遣いは流石に目黒雅叙園ならではのものであり、僕も嬉しかった。そんなわけで会場内の作品も少しだけだが、お伝えすることができる。

 

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「百段階段」の花、その1。

 

・目黒雅叙園には、20093月に東京都の指定有形文化財に指定された木造建築があり、欅の板材でつくられた99段の階段廊下をもつことから「百段階段」と呼ばれている。この展覧会もこの「百段階段」を会場にして、2000年から始まり、毎年開催してきており今年16回目となるという。総来場者数が約60万人というから大変なイベント企画である。国内だけではなく国際的にも幅広く活躍する假屋崎さんは、昨年もブルガリア、トルコ、ルーマニアなどで個展を行い、大いに日本の華道の素晴らしさを世界に知らしめた。新たにインスパイアされた世界観を、目黒雅叙園でお披露目となったわけだ。
「百花繚乱」という言葉通り、昭和10年に作られたという木造建築「百段階段」には、假屋崎さんの新たな視点で活けられた様々な花が会場内に咲き乱れていた。かつては食事を楽しんだ7部屋を欅の99段の階段廊下が繋いでいる。7つの部屋は、当代一流の芸術家による日本画、黒漆に蝶貝をはめ込んだ螺鈿、組子の建具、銘木など破格の装飾に埋め尽くされ、日本文化の伝統の煌めきを今日に伝えている。具体的には、天井に23面の鏡板で荒木十畝の四季の花鳥風月が描かれた十畝の間、床柱が北山杉の天然絞丸太で格天井および欄間いっぱいに板倉星光の四季草花が描かれた星光の間、室内は純金箔、純金泥、純金砂子で漁樵問答の一場面が描かれた漁樵の間、美人画の大家、鏑木清方が愛着をもって造った茶室風の室で、欄間に清方の四季風美人画が描かれた清方の間など、それぞれの部屋そのものが個性に溢れている。この目黒雅叙園の歴史的文化財と、假屋崎さんが織り成すの世界が今回の個展ということになる。
本展では、花と歴史的建造物とのコラボレートを展開している假屋崎さんの原点である「百段階段」と、假屋崎さんの紡ぎだす生命のパワーが溢れる花の世界とのコラボレーションが楽しめる趣向だ。

 

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「百段階段」の花、その2。

 

・假屋崎省吾さんのプロフィールを簡単に触れておこう。華道家。「假屋崎省吾花・ブーケ教室」を主宰。美輪明宏さんより、「美をつむぎ出す手を持つ人」と評される。着物やガラスの器のデザイン及びプロデュースをはじめ、花と建築物のコラボレートとなる個展“歴史的建築物に挑む”シリーズを毎年開催している。海外ではフランス・パリ「プティ・パレ宮殿」やヴァンセンヌの森「パリ花公園」、タイ王国・バンコク「サイアムパラゴン」、ブルガリア・ソフィア「日勃国交55周年記念」などで個展やデモンストレーションをするなど、国内はもとより海外でも目覚ましい活動を展開している。その他、地域活性化支援のボランティア活動の一環として、少子化問題や地域活性を促す社会活動などにも積極的に取り組んでいる。

 現在、TBS系の「中居正広の金曜日のスマたちへ」にレギュラー出演中、NHK「あさイチ」にゲストコメンテーターとしても出演、MBS「プレバト!!」での大人気企画、いけばなの才能査定ランキングの専門家ゲストとして出演するなど、テレビ・雑誌・新聞など幅広い分野で活躍中。

 

・さて、感想を述べておきたい。まず目黒雅叙園の正面玄関を入ると、假屋崎さんの多彩な交友関係を窺わせるお祝いの花々が並んでいる。そのすぐ右横には、黄色と赤い木を縦横斜めに巡らせた前面に、惜しげ無く使われた白と紫色の胡蝶蘭が配された假屋崎さんの作品が出迎えてくれる。今回のテーマは琳派400年にちなんで『和美共感』だという。豊かな装飾性とデザイン性を特徴とする琳派の様式は、日本が世界に誇る至高の美として知られる。400年を経た現代においても、その輝きは色褪せることはない。本展では室町時代から江戸時代まで、それぞれの時代をイメージした琳派様式の作品約80点を創作。百段階段に連なる絢爛豪華な7部屋に展示されている。

エレベーター経由で、本日のメインである百段階段に向かう。日本伝統の美の空間で、現代日本の花卉生産者が生み出した花々を駆使して假屋崎省吾が織りなす、美の世界をご堪能できるというのが売り文句だがその言葉に偽りはなかった。階段の昇り降りが僕には苦痛なので、全部は見られなかったものの、実に各部屋の個性に合わせて、花々が活けられていることが分かった。それに前々から思っていたのだが、假屋崎さんの作品の空間処理のうまさに驚かされた。何事にも「間」が大事だと言われる。落語における語りの間であり、白地を生かした書道の書もそうだが、彼の作品にはそれが感じられる。この間があることで、作品に余裕が生まれ、美の世界は限りなく広がりを見せている気がするのだ。

 

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「百段階段」の花、その3。

 

・それにしても、日本各地から提供された花々の、素晴らしいことといったらない。各地のJAなどが生産者だが、ダリア一つ取ってみても、この種類の多彩さ、その豪華さは他に類を見ない。直径20センチもの大きさのダリアなど、これまで僕は見たこともなかった。またこの時期なのに、牡丹の花が活けられていた。普通、牡丹の花は、4月から5月にかけて咲くはず。その牡丹の花が今の時期に見られるとは驚きだ。こうした花卉生産者と假屋崎さんとのコラボあってこそ、この展覧会が続いた理由と思われる。例年、その大胆な使い方には感心させられていた、柿の実がついたままの大振りの柿枝が今回も使われていた。大胆にかつ細心な作品に仕上がっていた。

  また、新しい現代感覚のスプレイ菊、鶏頭、花梨、和洋のバラ、トルコギキョウ、シンビジウム、グロリオーサ、南瓜、蘭など、使用した花卉は実に多彩で豪華そのもの。花器関係もご本人のプロデュースで、鉄器、ガラス器、陶器などと作品に合わせて使い分けている。僕は生け花には門外漢だが、いいものはいいとだけは言える。今回、この假屋崎省吾の世界展を見て勇気づけられた気がする。美の世界は世界共通である。假屋崎さんの作品は世界でも高評価されている。そして陰で支える日本各地で花卉の生産に従事している人たちがいる。この素晴らしい花々もまた、世界に通用するものだと僕は信じている。日本のアニメ技術が世界を席巻しているが、この生け花も世界に誇れる日本の伝統文化だと思う。どんどん発信していって、日本に活力をもたらして欲しい。そんな夢を見させてもらった、今回の個展であった。

 

過去の会場写真を少しご披露しておこう。

 

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假屋崎省吾さん、編集担当の秋篠貴子、僕。撮影:臼井雅観(200911月)

 

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假屋崎省吾さん、出版部長の臼井雅観、僕。撮影:秋篠貴子(200611月)

 

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