川鍋宏之さん、僕 - 加登屋のメモと写真…
加登屋のメモと写真…
川鍋宏之さん、僕

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川鍋宏之さん、僕

 

・弊社から『福田和也と魔の思想』(2005年)、『悠仁天皇と皇室典範』(2007年)の二冊を刊行させていただいた筑波大学名誉教授・中川八洋さん。この度、緊急出版を提案してこられた。現・民主党政権に危機意識を持ち、参議院選挙前のできるだけ早くに出してほしいとのご要望である。中川さんの依頼文によれば、民主党政権がこのまま続くと日本は崩壊(カタストロフィ)へと向かいかねないとまで言い切る。その論拠をざっと見ていくと、民主党のシンパサイザーでさえ、「これは容易ならぬ事態である」と思うこと必至で、大いに波紋を呼びそうなテーマである。

・先に弊社では、藤原肇さんの著になる『さらば、暴政――自民党政権、負の系譜』という本を刊行した。小泉から安倍、福田、麻生と続いた自民党政治の迷走と暴政ぶりを総括したもので、当然のことながら民主党寄りの論点で書かれている。この本は特にネットを中心に浸透し、増刷にもなっている。中川さんの本は、まったく逆の立場からの論調で、それだけに一瞬躊躇したのも事実だが、民主、自民両陣営の本を発行するのも、小社のような小出版社らしくて良いじゃないか。

・テレビ司会者の田原総一朗さんなら、もっと激しく対立する者同士を登場させ、丁々発止と渡り合う場を用意するであろう。いわば「お互いをけしかけるジャーナリズム」である。岐路に立たされている日本の政局。どう舵取りしていったらいいのか。群雄割拠する小政党も含めて、いずれにも言い分はあるはず。持ち込まれた原稿を、平等に出版して、読者の判断を待ちたい。そんな観点から、民主党政治の危機的状況を指摘する中川八洋さんの『民主党大不況――ハイパー・インフレと大増税』(仮題)を刊行するつもりだ。これも小出版社が生き残る一つの選択肢である。

・天下の秀才である中川八洋さんは、初めは理工系の学問(東京大学工学部航空学宇宙工学コース)を目指し卒業したが、その後、ガラッと興味の対象を変え、米国に留学し、スタンフォード大学政治学科大学院を修了された。帰国後、科学技術庁に勤務された後、筑波大学に転じ、同大教授、現在は同大名誉教授になられた。

・理工系から文系へと転じた中川さんは、現在まで約五十冊の単行本を上梓されてきたが、それを著作集か全集として出版したいという構想もお持ちである。『中川八洋著作集(案)』の全貌を拝見すると、深淵な構成によって、清流出版の既存書も位置づけられる。まず全体を見ると、哲学・現代思想・憲法思想のジャンル(第1巻-第4巻)、国際政治学のジャンル(第5巻-第8巻)、比較政治学のジャンル(第9巻-第10巻)の3部構成になっている。弊社より刊行した『悠仁天皇と皇室典範』は、第2巻「皇位継承学」に、もう一冊の『福田和也と魔の思想』は、第4巻「現代思想」の範疇に入る予定となっている。そして、今回の『民主党大不況――ハイパー・インフレと大増税』(仮題)は、第9巻「"日本解体の制度改悪の連鎖"をいかに阻むか」に入る予定とのことだ。

・写真に写っているのは、本書の校正、校閲の任に当たった川鍋宏之さん(右)である。本来ならば、著者・中川八洋さんが写っていなければいけないのだが、緊急性を帯びた企画なので、どんどん進めた結果、残念ながら間に合わなかった。それに中川さんはどうやら、都心の赤坂のマンション住まいから、閑静な別荘地に居を移したようである。

・川鍋宏之(通称ナベ)さんのお兄さんは、『週刊現代』元編集長で、1975年に『日刊ゲンダイ』を作ったあの有名な川鍋孝文さんである。漏れ伝えるところによると、「賢兄愚弟」、「小市民的な人生を送れない弟」とお兄さんは言うようだが、僕から見ると、どうしてどうして弟の宏之さんは立派な見識があり、校正・校閲者としても極めて有能な方である。作家的な資質もあり、良質のエッセイや小説も書ける方だと僕は確信している。

・ナベさんは、僕がかつてダイヤモンド社で『レアリテ』誌の編集者をしていたとき、助っ人募集に応じてきた一人。約100名の応募者の中でも光っており、僕が自信をもって採用した優秀な男である。入社してしばらくの間、ナベさんは、僕のことを「試験官」と呼んで揶揄したものだ。その後、ナベさんはダイヤモンド社の組合委員長として、大いにその辣腕ぶりを発揮することになる。考えてみれば、その頃は、二人ともまだ三十歳前後の若者だったわけだ。

・中川八洋さんに、外部編集スタッフとしてナベさんを予定している、と言うと、『日刊ゲンダイ』は中川さんをこれまで目の敵にしている共産党機関紙のようなので、お断りしたいと言う。僕は、川鍋兄弟の間を知っているので、仕事の上で中川さんの心配は全く杞憂だと反論した。藤原肇さんの『さらば、暴政――自民党政権、負の系譜』も、川鍋宏之さんが校正、校閲している。結果的に、川鍋さんを起用してよかったと確信している。中川さんも校正・校閲の仕事ぶりを見て、この人選に納得してくれたものと思う。

 

・中川さんの真正保守主義者としての本領が、本書にはよく現れている。ちなみに、2部構成であり、第1部 「民主党の解剖カルテ――日本崩壊への政治アジェンダなのか?」、 第2部 「溶解して消えるのか? 迷走する自民党――政権奪還の道が、ただひとつだけある」となっている。  

・もう少し詳しい内容については、章タイトルをざっとご紹介しておこう。

 第一章 北朝鮮型「子供の国家管理」

     ――民主党「子育て支援」の、本当は怖ろしい正体

 第二章 "欲望人の衆愚政治"となった、日本の民主政治

 第三章 夫婦別姓、ラブ&ボディ、フェミニズム 

     ――「日本人絶滅」への三大スーパー高速道路

 第四章 ナチ型の一党独裁体制が、民主党の狙い

     ――魔語「官僚主導政治の打破」で隠す底意

 第五章 東アジア共同体、地方分権、外国人参政権

     ――「日本国の廃滅」に至る、国家解体の三大政策

 第六章 "大企業つぶし"が、民主党の秘めた真意

 第七章 "英国の大宰相"マーガレット・サッチャーに学ぶ

     ――福祉国家路線の断罪、"自立&勤勉"の復権、

       社会主義思想の絶滅

 第八章 "転落と破綻"の自民党二十年史

 第九章 「国家永続法」(仮称)の制定

     ――出生率低下/家族解体/勤勉の倫理の否

       定/赤字財政の増大/〈法の支配〉の破壊

・今年の夏は、保革混在、稀に見る政治不況下での〈決戦〉が見られるだろう。二大政党それぞれに、政治への不信感が払拭できないでいる。無党派層の投票行動によっては、多くの政治家たちの予想を裏切る結果になるかもしれない。そうなると、弊社の出版物も余り期待できないかもしれない。

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